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質問1 リニューアルする目的は?(2008/9/5)

グリニッジ有限会社 取締役社長 田中裕之
記事のカテゴリ: 制作の現場から, 発注する, 発注前の知識, 連載記事 | No Comments

ネットショップがらみの仕事をしておりますと、ネットショップの店長さんからこのような相談(という名の愚痴)を伺うことがあります。

「どこそこにネットショップのリニューアルをお願いしたんだけど、全然イメージと違っちゃって、修正をお願いすると追加でまた幾らっていうから、やってやれなくて途中で断っちゃった」

「イメージと違うものになってしまったけど、自分のイメージもうまく説明できないの。どうしたらいいかしら?」

「サイトが綺麗になったのはいいんだけど、全然売れないんだよね(怒)」

ドッグイヤー、ラットイヤーとも言われるネット業界です。ネットショップを立ち上げて、数年するとサイトも陳腐化してしまい、必ずリニューアルという作業がやってくると思います。でも、このようなうまく行かない話ばかりを耳にしますと、改善策について真剣に考えるべき問題かなと次第に思うようになりました。多くのネットショップ店長さんのお話を伺い、ようやくその解決の糸口が見えてきております。

この“納得発注道しるべ”というサイトは、ネットショップ運営者と制作会社の両者のギャップを埋めるような、そんな場が作れたらという想いがありまして始めたわけです。

色々と失敗の事例のお話を伺って行く中で、この、ネットショップのリニューアルがうまく行かない原因は、簡単に言ってしまえば、発注者と制作会社との間でビジョンや情報の共有ができていないことが最大の原因だろうという結論に達しました。

でも、この“ビジョンや情報の共有”が、言葉で言うほどには簡単ではないのが真の問題なわけです。

そこで、そんなあなたに贈る「ネットショップをリニューアルする前に確認したい5つの質問」

この5つの質問を押さえ、その回答を元に打ち合わせを行う事で、ネットショップのリニューアルの際に起こるコミュニケーションの問題を未然に防ぎ、実りあるリニューアル作業を迎えられればこれ幸い。では早速内容のほうへ参りましょう!

確認したい5つの質問、その中身とは?

制作会社の担当の人に来てもらって打ち合わせを行う、あるいは、社内のスタッフのみでリニューアル作業を行う場合も、担当者間で共通の認識を持つために、この5つの質問は是非押さえてもらいたい項目です。

この5つの質問について、5回にわたって連載して参ります。

質問1 ネットショップをリニューアルする目的は?

まずはここからはじめましょう。

打ち合わせの開口一番、

「ネットショップをリニューアルしたいから、カッコウいいのお願い」

このような形で制作会社に依頼してないでしょうか?

明らかにこれでは制作会社に全く意図は伝わりませんね。
問題はやりたいこと(Wants:ウォンツ)しか伝えていないことです。

そんなお願いの仕方はするはずない、と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、リニューアルに限らず、いろいろな案件で外注をしようとする場合に、得てしてこのような依頼を行ってはいないでしょうか?


発注者:SNSを作りたいんだけど、できる?
外注先:出来ますよ。200万円くらいかかります。

一応、話は通じているようではありますが、やりたいこと(Wants:ウォンツ)しか伝えていないと、他の提案の余地をなくしてしまうことになってしまいます。

外注先はきっとこう思っています。

「いまさらSNSを作ってもなぁ。でもお金になるし良いっか。」

でも、やりたいことの背景を伝えれば、それに対する見解や、別の提案なども引き出せるかもしれません。たとえば「当社の扱う商品は趣味性が強い商品なので、コミュニティを作り上げ、場を提供することでネットショップとのシナジー効果が期待できるからSNSを作ってみたい」などなど。

ネットショップのリニューアルに話を戻しますが、では、なぜリニューアルしようと思い立ったのでしょうか。その背景を含めてリニューアルの目的を書き出してみてください。

書き出すことができたなら、ようやくこれでネットショップをリニューアルする際にやりたいこと(Wants:ウォンツ)がしっかりと押さえられたということです。
でもやりたいこと(Wants:ウォンツ)だけでは不十分。あくまでもこれはスタートラインです。

映画のシナリオから学ぶWantsとNeedsの関係

少々話がわき道にそれますが、以前私は、映画のストーリーを分析・評価する仕事をしていたことがあるので、ちょっとストーリーのお話をさせていただければと思います。

世の中には、人を感動させる、人の心を打つ優れたストーリーがたくさんありますが、そんな優れたストーリーを分析していきますと共通点があります。それは、主人公のWants(ウォンツ)とNeeds(ニーズ)がしっかりと描かれているということです。

Wants(ウォンツ)とは主人公が欲しているもの、主人公のゴールです。一方で、Needs(ニーズ)とは主人公が気づいてはいないけれども、主人公の成長のために必要としているもの。
良くできたストーリーは、その成し遂げなければいけないこと(Needs:ニーズ)を獲得できたときに、ゴール(Wants:ウォンツ)もかなえられるといった形で展開することが多いものです。

具体例を挙げてみましょう。

「マトリックス」という映画があります。キアヌ・リーブス演じる主人公は、凄腕ハッカーとしての裏の顔を持ちながら、昼間はシステム会社で上司に叱られながら働いています。

その主人公がマトリックスの世界に旅立ち、お前は救世主だと言われて、いつしか世界を救うことが主人公のゴール(Wants:ウォンツ)になっていきます。
でも、主人公が世界を救うためには、主人公自身の成長が必要でした。その成長とは、自分の限界は自分が作り出しているんだと悟り、それを克服すること。つまりは自分を信じることです。そうした成し遂げなければいけないこと(Needs:ニーズ)を達成することで、主人公のゴール(Wants:ウォンツ)も達成されるのです。

マトリックスのストーリーを忘れてしまった、あるいは、そもそも観ていない、という方には難しい話かもしれませんが、是非一度、ストーリーの構造を読み解く、といった視点でこの映画を見ていただければと思います。

ネットショップの話に戻りますが、ネットショップのリニューアルの作業も、これはひとつの立派なストーリーであり、映画のストーリーと同様なものとして捉えることができるのではないかと考えております。

ネットショップのリニューアルの目的を達成することをゴールとします。そのゴール(Wants:ウォンツ)を実現するために、壁を乗り越えなければいけないとしたら、どのような壁が考えられるでしょうか。そして、その壁は、何かを成し遂げなければ乗り越えられないとしたら、その成し遂げなければいけないこと(Needs:ニーズ)とはいったい何なのでしょうか。そういった視点から、ネットショップのリニューアル作業を捉えていただければ、もっと視野を広くしてみることが出来るのではないでしょうか。次回はこのお話をもう少し掘り下げていってみたいと思います。

制作会社の担当者とネットショップのリニューアルの打ち合わせをする際は、相手先の事務所で打ち合わせをするのではなく、ぜひ自らの事務所に来てもらい、ネットショップの業務やスタッフの働く姿を見てもらいましょう。見てもらうことによって、言葉では伝わらない多くの情報を制作会社の担当者の方に感じてもらうことができるはず。そういった積み重ねも、発注者と制作側とのギャップを埋める手助けとなってくれるものです。

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[1] 「映画のシナリオから学ぶWantsとNeedsの関係」: http://www.webryoku.jp/information/doubt/case1/p/330/2

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