1枚のイラストが表す、システム開発の「本当」
突然ですが、こんなイラストをご覧になった事はあるでしょうか?
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エンジニアの間では割と知られているこのイラスト、初出についての詳しいことは判らないようなのですが、一説によると1973年にロンドンで掲載されたものであるとのことです。
ぱっと見てこのイラストの意味するところを理解できる方は、おそらく以前にシステム開発について苦い経験をお持ちなのではないでしょうか?決して皆不真面目な仕事をしている訳では無いのにもかかわらず、何故か気がつけばトンチンカンな成果物と予想を上回る時間とお金が掛かってしまった…というのが往々にして起こりうるのがシステム開発というもの。一体何故こんな事になってしまうのでしょうか。
このイラストが描かれた当時は、当然のことながらWebやパソコンというものはまだ無く、システム開発といえば金融や大企業の基幹系システムなど、メインフレームやスーパーコンピューターと呼ばれる超巨大コンピュータが中核を担うような巨大プロジェクトが大半でした。そんな巨大プロジェクトが頓挫する様子を風刺していたイラストだったはず…なのですが…。
時は流れ21世紀、Web開発をはじめ小規模なシステムを開発する時でさえ、このイラストのような笑えない事態が起こってしまうというのは往々にしてあり得る話です。技術がどれだけ進歩しても、それを使うのが人間である以上、このあたりの問題は簡単には解決しない事のようです。
さて前置きが長くなりましたが、ここで今回、発注する側のみなさまにご注目いただきたいのは最初と最後にある「顧客が説明した要件」と「顧客が本当に必要だった物」という2つのイラストです。この2つのイラストをご覧になってどのような事をお感じになるでしょうか?
これらのイラストの意味するところは、おおよそこういう事なのではないかと多くの方が解釈されています。すなわち
「顧客は自分にとって本当に必要な物を、自分自身では正しく説明することは困難である」。
例えば、せっかく作るならと余計な機能やデザイン的なものにばかり着目してしまったがために何が最も必要なのかということを見失い、『本当に必要な物』の本質を正しく把握・分析出来なくなってしまった結果、よく意味の判らない完成予想図が出来上がってしまうのです。そして誰一人正しい姿を認識できないままものづくりが進んだ結果は…
得られた成果物は中途半端、かつ本当に必要としていたものと異なってしまうのです(もちろん全てにおいてそうとは申しませんし、他のイラストに表されるように開発側の要因というものもあるのですが、今回は主に発注される皆様にお読みいただく記事ということで、あえて顧客側に焦点を当てた記述としております)。
相互理解が必要不可欠、ビジネスでのプロセスをシステム開発に
システム開発を行う上では、最初に「何をつくれば良いのか」という点を分析する『要件定義』という工程が発生します。
設計を担当するエンジニアはお客様から「何が欲しいのか」をヒヤリングしつつ、技術的な要素を盛り込みながら設計書に落としていく訳ですが、当然のごとくこの時点でエンジニアに対して必要とするものの説明が的確に行われなければなりません。
もちろんエンジニア側も、お客様からいかに本質的なものを聞き出すか、またそれを正しく理解・分析した上で設計・実装を行うための能力を養っていく必要があるのですが、要するにお互いのコミュニケーションと理解の上で築き上げられていくということがものづくりの基本であり、とりわけプログラムやシステムというものは物理的な存在ではない部分が多数あるため、お互いにとって見えづらい部分を(開発するシステムそのものだけでなく、お客様側からは技術的な可能性について、またエンジニア側からはお客様の業務内容について、という部分においても)どこまでフォローしあえるかによってプロジェクトの成果が変わってきてしまいます。
目標(得たい成果物)を明確にし、共有した上で戦略策定(設計)を行う事が大切である、という言い方をするならば、ビジネスにおいてもシステム開発においても、そのプロセスは同じなのです。
自社のニーズとウォンツを的確に分析するということは、日々のビジネスにおいて皆様やられていらっしゃる事と存じます。システム開発においてもこれらの分析をきちんとされた上で「顧客が本当に必要だった物」を手に入れることの出来る「賢い顧客」となって頂ければ幸いです。まずは本当に必要とするものは何なのか、その予想図を的確に描き共有できることが、失敗のないシステム開発のスタートとなるのです。
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